漫才:宅配の人

武田:どうも、よろしくお願いします。
   まず最初に自己紹介しますと僕が武田完で隣にいるのが三浦碧。
   二人合わせてENDGREENです。よろしくお願いします。
三浦:ねえ、ねえ完君、完君。話があるんだけどさ! ちょっと相談に乗ってほしいんだ!
武田:いいけれど、いったいなんだい?
三浦:私、この夏にやり残したことがあって、来年の夏こそはちゃんとできるようアドバイスしてほしいんだ。
武田:なるほどね。それでやり残したことってなにかな?
三浦:宅配の人に優しくしたいの!
武田:宅配の人……?
三浦:この夏何回か荷物が届いたんだけれど、暑いなかを汗だくになって届けてくれた宅配の人をなにも労えなくて悪いことしちゃったなって思っててね。
   だから来年の夏こそはちゃんと感謝の気持ちを込めて宅配の人に優しくしたいの!
武田:碧ちゃん。心がけは立派だけれど宅配の人を労うのは夏だけに限定にしなくていいと思うよ。
三浦:そうなんだけれどね、でも夏場は特に大変でしょ? だから夏は特に心を込めて優しくしたいの!
   完君、どう優しくすればいいか一緒に考えて!
武田:普通に「ありがとうございます」って言葉にすればいいだけじゃないかな。
三浦:言葉だけじゃなくてもっと違う形で示したいの!
   でも、仕事中に色々話しかけたら迷惑じゃないかなって考えちゃって。
武田:考えすぎじゃないかな。
三浦:それに、宅配の人って仕事がたくさんつまって時間がないから「お礼に夜通し酒盛りしましょう!」って誘っても困っちゃうでしょ。
武田:知らない人とサシで酒盛りしようって言われて困ることに仕事量の多寡は関係ないよ碧ちゃん。
三浦:私だけじゃなくて友達にたくさん来てもらうよ!
武田:碧ちゃん、もっとありがた迷惑だよ。知らない集団に放り込まれても居心地悪いだけだからね。
   言葉だけじゃ足りないなら冷たいお茶とかでよくないかな。
三浦:じゃあ、宅配の人が来たら「お茶飲みに行きません」って言えばいいんだね!
武田:碧ちゃん、時間がかかっちゃうよ。
   ここが一番の論点ではないけれど、さっき時間のなさを気にしていたからあえてここから指摘するけれども。
三浦:でも家の近くの喫茶店なんだよ!
武田:いくら近かろうとも外に行くんだったら場所と飲み物の種類が変わっただけで酒盛りと同じ問題点を抱えているよ。
   缶のお茶買っておいて冷蔵庫で冷やして渡してあげようよ。そうしたら宅配の人も早く帰って次の現場行けるでしょ。
三浦:えーと、じゃあ宅配の人が来たら「ぶぶ漬けいかがどす?」って言えばいいの?
武田:早く帰ってほしいが出すぎているよ、碧ちゃん。別に迷惑だからってわけじゃないからご飯と一緒にする必要ないからね。
三浦:でも、お茶だけだとスタミナが切れちゃうかもしれないから……。
   よし! 注文しておくからピザを食べてもらうね!
武田:碧ちゃん、無間地獄に足を踏み入れてしまったよ。
   この際、仕事中のピザの差し入れの是非は置くとしてピザ注文するってそのピザを注文した人も労わないといけなくなるじゃないか。
三浦:ピザの人には天ぷらそばを食べてもらうよ。
武田:碧ちゃん、すでに別の店屋物を取る心積もりなのかい?
三浦:おそば屋さんにはシェイクを飲んでもらうし……
武田:Uber Eatsまで利用する気かい?
三浦:Uber Eatsの人にはアイドルのコンサートのチケットをあげるんだ!
武田:碧ちゃん、ひょっとしてだけれどよろしくないオークションを利用していないかな?
   流れからして転売して手にいれたチケットを次の宅配の人に渡しているよね。
三浦:ううん。コンサートのチケットは私が買っていたものをあげるんだ。
武田:碧ちゃん、法則がわからないよ。
三浦:最初に頼む人には渡せるものがないから、そのとき持っているものを使うしかないかなって。
武田:碧ちゃん、だったら最後の宅配の人までなにも頼む必要がないよね。
   中継ぎを介したせいでコンサートのチケットかシェイクかっていうギャンブル性の高いくじ引きになっちゃっているからね。
三浦:完君のおかげでどうすれば宅配の人に優しくできるかわかったよ!
   あれ、でもこのシミュレーション通りにするにはチケットが必要なんだよね……。
   完君! 宅配の人に優しくするためにどうやったらプラチナチケットが取れるか教えて!
武田:碧ちゃん、なにも考えないでお礼だけ言おうね。いい加減にしようか。
二人:ありがとうございました。